国際カルテル事案への実務対応

9月18日に東京、19日に大阪で「国際カルテル事案への実務対応」というテーマでセミナーを開催しました。

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最初は、「国際カルテルなど調査事案に活用されるリーガルテクノロジー」という内容で、リーガルテック株式会社の佐々木隆仁社長が講演を行いました。

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FBIが作成したビデオで、どういう手法で捜査が行われているかを説明されました。

金融の国際カルテル事例として、LIBOR, TIBORの金利不正操作の事例も紹介されました。

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こちらのチャートは、円LIBORとTIBORの推移を表していますが、ロンドン市場で銀行間で、取引される円建てレート、円LIBRと東京の銀行間取引レートのTIBORに乖離があることを示しています。この2つのレートは、サブプライム危機が起こるまでは、ほぼ、同じような動きをしていましたが、サブプライム関連の金融商品で欧米の金融機関がばく大な損失を出したために、円LIBORの方が邦銀が多いTIBORよりも高くなる傾向がありました。ところが、2009年春に落ち着きを取り戻してから以降4年間は、TIBORが高止まりしています。

本来は、同じ金利である筈なのに、TIBORが円LIBORよりも高い状態が約4年間続いています。しかも、これがファイナンシャル・タイムズにTIBORの記事が掲載されてから、低下し始めています。世界の基準金利が不当に操作されていないかったのかという疑いが掛けられています。こういった不正調査を行う場合に電子データが極めて重要な証拠となっています。

パソコンの2014年問題」に関するリーガルリスクについても、説明がありました。

米国では、XPからの移行対策を経営者が怠っているということで株主代表訴訟に発展した事例もあり、日本においても、2014年問題の対策が不十分で重大な情報漏えいが発生した場合には、訴訟に巻き込まれるリスクがあります。

ベーカー&マッケンジー法律事務所の井上朗先生は、「国際カルテル事案における電子情報の重要性について」というテーマで講演されました。

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井上先生は、10年以上に渡り、カルテル事案に関わっており、先生の豊富な経験に基づいて、大変、興味深い内容の講演をされていました。日本企業が国際カルテル事案に関連して米国や欧州で課された罰金額・制裁金額が巨額化しているだけでなく、禁固刑 等実刑判決の内容も厳格化していることが近時の顕著な傾向です。今後もグローバルに活動している日本企業が、米国 及び欧州の競争当局から厳格な取締りを受けることが予想され、当該日本企業にとっては、国際カルテル事案への具体的 な実務対応を把握しておくことが喫緊の課題です。

一方で、電子データの証拠収集能力は、飛躍的に高まっており、従来では、調査が難しかった内容もスマートフォンやパソコンを使ったやり取りを証拠収集することで、立証することが可能となりました。元CIAの職員で国家安全保障局に勤務していた、スノーデン氏の内部告発によると、2013年の3月に、米国政府は合衆国内で月に30億件、全世界で970億件という凄まじい情報をインターネットで電話回線から傍受していたとのことです。

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実際に電話回線から取得した内容は、氏名、住所、通話内容ではなく、電話番号、通話時刻、通話時間や位置情報などのメタデータだと言われています。インターネットから収集した情報は、電子メール、チャット、動画、写真、ファイル転送、ビデオ会議などの情報だったとのことですが、これらの情報が大量に取得され、解析されると、全世界の人がどのような行動を取って何をしているか、かなり把握することができます。これらの証拠データが捜査に活用されれば、従来で不可能だったカルテル事案も、調査が可能となります。

多数のお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。