国際カルテル調査におけるeディスカバリー

ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作

国際的な基準金利であるロンドン銀行間取引金利、LIBORの不正操作が発覚しました。LIBORは、英国銀行協会が、上図にあるような複数の有力銀行から報告された11時時点でのレートを集計して、毎日営業日に発表している基準金利です。この基準金利を複数の関係者が不正に操作をしていることが発覚して、大きな問題となりました。

すでに幾つかの金融機関は、賠償金の支払いに応じており、バークレイは、約400億円、UBSは、約1300億円の支払い、RBSは、約600億円の支払いに応じています。この基準金利は、13のリファレンスバンクが申告したレートのうち、上の3つと、下の3つを外した7行のレートを平均して決めています。つまり、不正操作をおこなって、基準を操作するためには、4つ以上の金融機関が談合に応じないとできないという構造になっているということです。2012年の12月には、この事件で元トレーダーの逮捕者も出ました。

LIBOR事件で逮捕された元トレーダーのうち、一人は、東京勤務の経験があり、円建て取引の担当者だったとされており、ロンドンを主な舞台にした逮捕劇で、疑惑が東京市場にも波及したと報道された事件です。逮捕されたT容疑者ですが、この人は、2006年から2009年までUBSに在籍し、米国の検察当局の訴追内容によりますと、世界の金利を操作する3年越しの企ての中心人物だっったと、米当局は判断しているとのことです。訴追請求状によりますと、T容疑者は、通信詐欺と価格操作の罪に問われています。この事件で、UBSで短期金利商品のトレーダーとして、円建てロンドン銀行間取引金利、円LIBORにも携わっていたスタッフも共謀罪で訴追されています。

司法省によると、T容疑者は、2006年から2009年の間に自行の円建ての申告金利設定担当者に少なくとも800回、他行のトレーダーに約100階、ディーラー間ブローカーに1200回、金利操作の依頼をしていたとのことです。UBSは、LIBORの不正操作問題をめぐって、約1300億円の制裁金の支払いに合意しています。T容疑者は、その後の2009年にCitiグループに移りましたが、金利操作の疑いで1年未満で解雇されています

こちらのチャートは、円LIBORとTIBORの推移を表していますが、ロンドン市場で銀行間で取引される円建てレート、円LIBRと東京の銀行間取引レートのTIBORに乖離があることを示しています。この2つのレートは、サブプライム危機が起こるまでは、ほぼ、同じような動きをしていましたが、サブプライム関連の金融商品で欧米の金融機関がばく大な損失を出したために、円LIBORの方が邦銀が多いTIBORよりも高くなる傾向がありました。

ところが、2009年春に落ち着きを取り戻してから以降4年間は、TIBORが高止まりしています。本来は、同じ金利である筈なのに、TIBORが円LIBORよりも高い状態が約4年間続いています。しかも、これがファイナンシャル・タイムズにTIBORの記事が掲載されてから、低下し始めています。このようなカルテルが疑われる事件で電子データの証拠調査にリーガルテックが活用されています。

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